真夏への備え(1) 〜家庭用蓄電池〜


中部電力浜岡原発が止まり、
この夏は全国的に電力不足になりそうです。

特に日中の一番暑い時間帯に電力需要のピークがありますので、
それを抑えることが課題です。


世の中の動きは「節電」一辺倒ですが、
個人レベルでできるもう一段の備えとして、
家庭用の小型蓄電システムを作ることにしました。



1.コンセプト
有り合わせのものを組み合わせて低コストで実現する。


2.イメージスケッチ

最近は大手メーカーも蓄電池を販売するようですが、
自動車が買えるくらい高額です。(60万〜200万円)

そんな高価なものを買ったりすると
奥さんの大目玉を食らいますので、
今回は相手にしません。

手近に比較的簡単に手に入る大容量蓄電池といえば、
そうです、電動自転車or電動アシスト自転車用のバッテリーです。

今回はこのバッテリーを使った安価な蓄電システムを考えます。

重要なパーツは、蓄電池の電圧を別の電圧に変換する
変圧器(DC/DCコンバータ)の部分です。


3.準備するもの
(1)大容量蓄電池

以前自作した電動自転車用のリチウムイオン電池を流用します。
この電池は電圧出力は36V。蓄電容量は10Ah (360Wh)です。

100Wの小型冷蔵庫なら3時間半、
60Wの大型扇風機なら6時間、
30WのノートPCなら12時間動かすことができます

この電池は二年前海外から個人輸入で手に入れ、価格は$374でした。
現在なら、同じ容量の電池が$216で入手可能です。

ちなみに電動アシスト自転車用電池も同じように使用可能ですが、
電圧が低く、蓄電容量は約半分になります(DC24V/8Ah)


(2)蓄電用充電器

今回は家庭用電源から給電するため、充電器は電池付属のACアダプタを使用します。


(3)変圧器(DC-DCコンバータ)

蓄電池からは高圧の直流(36V)が出てくるため、
そのままでは利用できる機器が有りません。
このため接続機器に応じて電圧を変換する必要があります。

直流用の変圧器は市販の完成品が見あたらなかったので、
秋月電子通商が販売している「降圧型DC-DCコンバータキット」を
使うことにしました。(\1000)

これで4V〜25Vまでの好きな電圧に変換できるようになります。


(4)各種電源ケーブル

蓄電池から電力を取り出すためのケーブルです。
大電流が流れますので、
余裕を持ってAC100V1500W用のものを用意しました。




4.製作手順

(1)変圧器のキットを組み立てる。

部品一式と組立説明書が入っていますので、
プリント基板上に部品を半田付けしてゆきます。
また、出力側の端子にUSBのコネクタを取り付けました。

これでiPodを始めとする様々なUSB機器が接続できます。



(2)蓄電池を充電する

付属のACアダプタを使って充電します。満充電になるまで約4時間です。



(3)蓄電池の出力端子と変圧器をケーブルでつなぐ


(4)蓄電池側面のキースイッチをON側に回してスイッチを入れる。


(5)準備完了
これで蓄電池からの電力を使える状態になりました。
とりあえず手元にあるもので動作確認してみます。

USB扇風機を接続したところ、勢いよく回転し、正常に動作しました。

この蓄電システムを2、3日実際に使ってみましたが、
いざという時に自由に使える電気があるというのは大きい安心感が得られます。

これで暑い時間帯であっても、
自宅で使う最低限の機器は蓄電システムから駆動できますので、
ピークを抑えるのに役立つと思います。