真夏への備え(2)  〜小型太陽光発電システムを自作してみた〜


電力不足の夏にむけた活動は続きます。

先日はピークシフト用の家庭用蓄電池をつくりましたが、
貯める電気は電力会社から供給されたものでした。

「電気が足りないなら自分でつくればいい」ということで
蓄電池を充電するための小型太陽光発電システム
自作することにしました。



1.コンセプト
どこでも折りたたんで持ち運び、必要な場所で太陽光発電が可能なようにする


2.イメージスケッチ

太陽電池パネル、蓄電池、チャージコントローラーの3つを接続したシステムとします。
太陽電池パネルは持ち運びを簡単にするために小型のものを2枚準備し、
それを「蝶つがい」でつなぎ合わせた構造のイメージです。
折りたたむとキャンプ用の机のようになり、
取っ手を持って持ち運ぶことができます

右上のシステムブロック図に示すように、太陽電池の電力を外部に取り出すには
出力側に接続した機器とのバランスを取る必要があります。
このためこの制御を自動的に行ってくれるのがチャージコントローラです。


3.準備するもの

(1)太陽電池パネル

蓄電池を充電するために必要なACアダプタの消費電力(80W)から
逆算し、出力100Wの太陽電池パネルを選択します。

今回はコストパフォーマンスに優れた中国 CINCO SOLAR社のパネルを選択しました。


CINCO SOLAR 100W 12V PV SOLAR PANEL CNCB100W-12

このパネルは出力100Wで$194.85(約\16000)でした。
1キロワットあたりの価格は$1940(\16万円)です。
これは国産メーカーのパネルと比較すると
約3分の1から7分の1の価格です。

広げた時の大きさは108cm×84cmですが、
折り畳んだ時には54cm×84cm×8cmになります。

収納時は一応家具のスキマに入ります。これなら奥さんにも
邪魔扱いされないでしょう。

重量は14kgあり、片手で持ち運ぶにはかなり気合いが必要です。
パネルのフレームに軽量のアルミ材を使っていますが、
太陽電池セル保護用のパネルに重量のあるガラスを使っているため
どうしても重くなるようです。



(2)チャージコントローラー

チャージコントローラーは雨天や夜間に太陽電池の電圧が落ちた際、
バッテリー側の電力が太陽電池側に逆流しないようにする装置です。

太陽電池の出力に合わせて機種選択する必要がありますが、
今後増設のことも視野に入れ、容量に余裕を持たせたものを選定しました。

YMT ENERGY 12V(240W)/24V(480W)システム両用 ソーラーチャージコントローラー
\7980-



(3)接続用ケーブル

12Vの低圧でも10A近くの大電流が流れるため、専用のケーブルを使用します。

\2480-


(4)並列接続用コネクタ

12V系のパネルを並列接続して大出力を得るために使用します。

YMT ENERGY 60W・80W・120Wソーラーパネル用 並列コネクターセット
\2000-


(5)DC/AC変換用インバータ

DC12VをAC100Vに変換するための装置です。
これを使えば家庭用電源が必要な機器を動かせます。

セルスター DC/ACインバーター HG-350/12V DC12V専用

セルスター DC/ACインバーター HG-350/12V DC12V専用

\3460-


(6)12V鉛蓄電池

太陽光パネルで発電した電気を一旦貯めておく蓄電池です。
チャージコントローラーの端子に接続して使用します。

\2680


(7)部品代合計

(1)〜(6)までの合計値
¥34600 



4.製作手順


(1)チャージコントローラを超強力両面テープで太陽電池パネルの裏側に貼り付ける

パネルを折り畳んだ際に内側にスキマができますので、そこを狙って取り付けます。

チャージコントローラーの厚さを確認しながら、パネルを閉じた時に干渉しない位置に両面テープで貼り付けます。


(2)延長ケーブルの両端をチャージコントローラーに接続する。

チャージコントローラーには太陽電池パネルの出力を接続する位置が
アイコンで示されています。そこを狙ってケーブルを接続します。


(3)シガーソケットコネクタをチャージコントローラーに接続する

12Vの電力を取り出すために、チャージコントローラーの
外部出力端子(電球のアイコン)にシガーソケットを接続します。
これで、外部への電力の取り出しが可能になります


(4)太陽電池パネルの出力ケーブルと延長ケーブルを接続する。

パネル1枚あたり50W(12V×4.2V)の電気出力があります。

並列コネクタを介して並列接続すると12V100W、
直列接続すると24V100Wで出力ができますので、
取り出したい電圧に応じてつなぎ方を選択します。

これでシステムの仮組立がが完了しました。


5.試運転


5月の青空の元、自宅近くの平城宮跡でテスト運転を行いました。

パネル電圧、チャージコントローラー電圧は正常に出力されており、
発電システムが正常に動作していることが確認できました。


またシガーソケットにDC/AC変換のインバータを接続すると、
手持ちの家庭用蓄電池や電動アシスト自転車用バッテリーにも
問題なく充電できました。

充電した電気は自宅に持ち帰ってノートPC用電源として利用しました。


6.感想


屋外で太陽の光を浴びながら電気を起こしていると、
大自然の恵みを頂戴しているという
謙虚な気分になります。



また自分が必要な分だけを蓄電して持ち帰ったのですが、
「自分で貯めた電気は大切に使おう」という
強い意識が生まれてくることもわかりました。



上の2つは実際に自ら体験してみて
初めて分かったことです。



今回、システム構築から試運転までを実際に体験してみた結果、
太陽電池+蓄電池」に未来を託してもよいという確信が得られました。



太陽電池と蓄電池の組み合わせは非常にシンプルです。
また今回のように小さいソーラーパネルから始めれば、
家庭菜園や日曜大工のように気軽に試してみることができます。



暮らしに必要なエネルギーを個人レベルで生み出せるようになれば、
自分の暮らしの基盤の部分を自分の力で支えることができるようになります。
またそれが広まれば、個人が国家に依存する比率も減り
社会全体も大きく変わっていくと考えています。



太陽電池+蓄電池」の技術はこの先の社会に非常に大きな変化を
もたらすはずです。

さてこの先にはどんな未来が待っているのでしょうか。
個人的には非常に楽しみです。