激安Android タブレット EKEN M001を分解してみた

親子のAndroidタブレット分解教室

世間では昨日発売になったiPadが話題ですが、
我が家ではそんなものとは関係なく、
先日買った激安Androidタブレット
「EKEN M001」を全力で分解してみました。


ものづくり学習の基本は
「考えるな。まず分解しろ。」
というのが私の持論ですので、
今回は娘と一緒に分解し、
なぜ100ドルでこれがつくれるのかを
探ってみました。

1.まずM001の表側(液晶パネル側)です

2.ひっくり返して裏側のカバーです。


3.裏側のカバーを取り外し、内部の部品を露出させました。
(タッチパネル液晶はこの裏側の面になります。)


4.内部の部品群を拡大したところです。
写真左側3分の1を占める青い部品がリチウムイオン電池
 (60mm×95mm×5mm)。その右側にはメイン基板(130mm×100mm)。
 メイン基板中央部にはソケットを介してサブ基板(68mm×37mm)
が乗っています。
 また左下から右上に向かってリード線が延びており、
 メイン基板に隠れている緑色のサブ基板(15mm×40mm)
につながっています

5.サブ基板を取り外して拡大しました。
 写真中央の黒い正方形のチップがCPU (台湾 VIA/WonderMedia WM8505,ARM9 300〜400MHz)、写真左側の長方形のチップが
RAM(台湾, NANYA Technology, NT5TU64M16DG-AC, 128MB)です。

6.サブ基板の裏側です。
 今は何も実装されていませんが、今後のバージョンアップでフラッシュメモリが取り付けられるようにランドが設けてあります。

7.メイン基板の中央上部を拡大しました。
 中央の太いリボンケーブルは、液晶パネル駆動用の信号線。
 左側の細いリボンケーブルはタッチパネル接続用の信号線です。

8.メイン基板の右上部を拡大しました。
 左中央部の黒いチップはLCDコントローラー(WM1613G)

9. メイン基板を裏返しました。
 右中央部のチップはフラッシュメモリ (SAMSUNG K9GAG08U0M 2GB)です。基板に直付けされています。
また左半分には、電源ONと上下左右の方向キーのスイッチが基板に直付けされています。

10. 4.で触れた緑色のサブ基板です。
 無線LANのモジュールです。メイン基板とはUSBで接続されています。

11. 液晶パネル部を横から見た状態です。
 液晶パネルとリチウムイオン電池は両面テープで接着されており一体化しています。

12. 液晶パネルの側面を拡大しました
 液晶パネルは台湾のHannStar HSD070IDW1-A 、バックライトはLEDの側面投射タイプです。点光源の個数が少ないため、画面周辺部の明るさには少しムラがあります。


13.リチウムイオン電池のパックを取り出しました
 最外部を保護するフィルムを剥がした状態です。
外側からは1つのセルに見えましたが、中身は
スマートフォン用の電池セル(60mm×47mm×5mm)が
2個並列で接続されています。


今回分解した結果とWiredvisionによるiPadの分解レポートを見比べた結果、激安のAndroidタブレットの設計思想は以下のようになっているのではと推測しています。

1. 激安のAndroidタブレットは部品コストを限界まで下げるため、高価な専用部品ではなく、低価格で入手可能な汎用部品が使用されている。
 (設計思想は携帯電話よりもネットブックに近いです。iPadのような高価なリチウムポリマー電池は一切使われていません。)


2. 1の結果、汎用部品をモジュール状に組み合わせているため、部品の接続部(配線+コネクタ)用にスペースが必要となり、機器に占める電子回路の面積が相対的に増大する。
  (しかしモジュール化しておくことでハードウェアの
  仕様変更に対応しやすくなり、部品の性能向上を
  反映しやすいと思われます。)

  
3. 2の結果、機器内部に大容量のバッテリーを搭載できなくなるため、稼動時間は相対的に短くなる。

  (ただし、CPUの性能向上により低消費電力化が進んでいった場合、
   この部分のデメリットは見えにくくなります。
   むしろ小型の電池を搭載することで軽量化が図れ、
   メリットとして強調される可能性が大きいです。)


激安のAndroidタブレットiPadのニセモノなどと揶揄されていますが、2010/5/29現在、ここでは$99.88で売られており、すでに日本円で10000円を割っています。

外から同じように見えるタブレットPCでもiPadAndroidでここま設計思想が異なるとは正直思いませんでした。やっぱりものづくりを学ぶには「まず分解」です。


今後このカテゴリの製品はいったいどこまで進化していくのか、片時も眼が離せません。